燃焼と炎色反応:金属塩が炎を色づける理由
電子の励起と発光のしくみを、炎の色から読み解く

花火の赤や緑は、金属塩を燃やしたときの炎色反応によるものです。なぜ金属の種類によって色が変わるのか。その答えは、原子の中の電子の動きにあります。
炎色反応が起きる仕組み
金属塩を炎に入れると、金属原子の電子が熱エネルギーを吸収して高いエネルギー状態(励起状態)に移ります。励起状態は不安定なので、電子はすぐに元のエネルギー状態(基底状態)に戻ります。このとき、吸収したエネルギーの差が光として放出されます。
放出される光の波長は、エネルギーの差によって決まります。リチウムは赤(約670nm)、ナトリウムは黄(約589nm)、カリウムは紫(約767nm)、銅は緑(約510nm)。これらの波長は元素ごとに固有で、炎色反応が元素の同定に使われる理由もここにあります。
実験で確認できること
塩化リチウム、塩化ナトリウム(食塩)、塩化カリウム、塩化銅などを白金線の先につけてガスバーナーの炎に入れると、それぞれ特徴的な色が出ます。食塩を入れたときの強い黄色は、ナトリウムの炎色反応です。ガスバーナーの炎自体は青いので、黄色の炎色反応はとても鮮明に見えます。
炎色反応は火を使う実験です。ご家庭で試すときは、必ず大人が付き添い、燃えやすいものを遠ざけ、換気をしてください。金属塩の中には口に入れてはいけないものもあるため、保管と後片付けにも注意が必要です。
花火との関係
花火の色は炎色反応の応用です。赤はストロンチウム塩、緑はバリウム塩、青は銅塩が主に使われます。日本の花火職人は江戸時代から経験的にこの性質を利用してきましたが、電子の励起という説明ができるようになったのは19世紀後半のことです。
炎の色を見るたびに、その色を決めているのが原子の中の電子の動きだと思うと、花火の見え方が少し変わるかもしれません。花火大会で色が移り変わるのを見るときに、この仕組みを思い出してみてください。